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地域おこし協力隊を機に勝浦に移住。スキルを活かして町のためにできることを

地域おこし協力隊を機に勝浦に移住。スキルを活かして町のためにできることを

勝浦市(福島県→埼玉県→東京都→勝浦市:2021年~)
大和田里奈さん(動画クリエイター、カメラマン)

かつて体験した自然が近くにある暮らし。その記憶はいつしか地方移住への想いへとつながっていきました。スキルを手に入れ、さぁどこへ行こうかと思ったときに偶然目にした勝浦市の地域おこし協力隊員募集。町のPRに奔走した隊員時代を経て、これからの勝浦のために自分ができることを模索する大和田さんにお話を伺いました。

独学で動画を学び、憧れの地方移住へ

持ち前の好奇心旺盛さで会社員から動画クリエイターへとキャリアチェンジ

2021年から約4年間、勝浦市の地域おこし協力隊を務めた大和田里奈さん。現在は、動画編集や撮影を主としたクリエイターとして活動しています。福島県で生まれ、埼玉県で育ち、社会人になってからは東京で会社員生活を送っていた大和田さんは、あるとき「自分にしかできないことをしたい」と思い立ち、独学で動画編集を学び始めました。

「もともとパソコンは得意で、やってみたら意外とおもしろかったんです。それで動画編集を始めたんですが、編集だけだと素材がない。そこでたまたまカメラマンさんに出会って、仕事をお手伝いさせてもらいながら動画撮影の技術も覚えていきました」

この仕事ならどこででも暮らせる。スキルを手に入れた大和田さんの心に浮かんだのは、地方移住への想いでした。幼少の頃から長期休みのたびに福島県の祖父の家で過ごしており、自然が近い暮らしは癒しを与えてくれたと大和田さんは話します。カメラマンとしての仕事は東京にあったので、都内に通える範囲で移住先をリサーチし、千葉県がよさそうだと思って検索すると…。

「いちばん最初に出てきたのが勝浦市の地域おこし協力隊の募集だったんです。しかも移住促進の業務で自分の強みも活かせる。これは運命だ!と思いましたね(笑)。その頃はフリーランスになっていたので、地方移住と同時に安定収入が得られるというのも魅力でした」

地域おこし協力隊として勝浦の魅力をPR

協力隊時代に作成したパンフレット(左・中央)と現在制作に携わっている『いすむすび』(右)

それまで勝浦市には一度も訪れたことがありませんでしたが、大和田さんはすぐに行動を起こします。現地に足を運んで担当者に話を聞き、その後に応募書類を提出。無事選考を通過し、あっという間に引っ越しを終え、2021年10月から地域おこし協力隊としての活動をスタートさせました。

主な業務は、移住に関わるプロモーション。動画を作って町の魅力を発信したり、移住促進パンフレットを作成したり、さまざまなコンテンツ作りに携わったほか、オンラインや対面での移住相談も行っていました。そのなかでは、もちろん壁にぶつかることも。

「移住相談をしてもやっぱりすぐには移住できないという方も多くて、なかなか目に見える成果に結びつかない。それでも、動画や写真で勝浦の風景を発信し続けたら見てくれる人はいて、『勝浦の魅力を伝えてくれてありがとう』って言ってくれるんです。自分が作ったものを見て応援してくれる人がいるのはすごくうれしかったですし、励みになりました」

勝浦の海も山も人も好き

  • 末吉之(すすむ)さんと一緒に。楽しげに話す様子は年の離れた友人のようです
    末吉之(すすむ)さんと一緒に。楽しげに話す様子は年の離れた友人のようです
  • 自宅の敷地内でさまざまな農作物を育てている末吉さんの話に興味津々の大和田さん
    自宅の敷地内でさまざまな農作物を育てている末吉さんの話に興味津々の大和田さん

運命的な出会いから始まった勝浦市での暮らしですが、「漁師町で人が元気な感じが性に合っていた」そうで、すぐにこの町が好きになったと大和田さんは話します。

「最近はよく散歩しています。ゆっくり景色を見られて写真も撮れるし、考えごとをするのにもいい。だれもいない冬の海が好きで、山も好きです! 勝浦の山のほうってあまり知られていないんですけど、季節によって色も匂いも変わって自然って本当にすごいんだなって。癒されます」

勝浦市に来ていちばんの収穫は、人のつながりが増えたこと。協力隊として地域に関わり続けたからこそ得られた財産です。

「インタビューなどもしていたので移住者さんともつながりがあり、『勝浦に来てよかった』という言葉を聞くと私も同じ気持ちだなと思います。あとは、年上の方と知り合うのもすごく楽しい! 私は民俗学に興味があって土地の話を聞くことが好きなのですが、みなさん子どもの頃の話などを喜んでしてくれるんです。知らないことばかりでおもしろいですし、知識や考えが広がります」

この日の取材場所は、民泊を営んでいる末吉さんご夫妻の自宅。末吉さんとは協力隊時代に知り合い、草刈りや野菜の育て方を教えてもらうなど、親交を深めています。今は敷地の一角を借りて農作物づくりにチャレンジする話も進んでいるそうです。

動画の仕事をしながら地域にまつわる活動も

  • 動画を編集する様子。撮影から編集まで自ら行えるのが大和田さんの強みです
    動画を編集する様子。撮影から編集まで自ら行えるのが大和田さんの強みです
  • カメラを片手にさまざまな場所へ撮影に繰り出します
    カメラを片手にさまざまな場所へ撮影に繰り出します

2025年に任期を終えてからは、リモートで映像専門誌の編集を行ったり、東京へ出向いて撮影の仕事を行ったりと、動画関連の仕事を請け負う一方、夷隅地域(勝浦市、いすみ市、大多喜町、御宿町の2市2町からなるエリア)のフリーペーパー『いすむすび』の制作スタッフとして地域に根付く文化や人々の営みを精力的に取材しています。

「『いすむすび』の編集長も協力隊の頃に知り合った方。お互い地域のことが好きで話が合って、一緒にやらない?と誘っていただいたんです。この間は酒造を取材しました。勝浦市だけでも2つの酒造があるんです。おかげさまで最近の晩酌は日本酒になりましたが(笑)、背景を知るとよりおいしく感じますよね」

また、自身の会社「midinco studio(ミジンコスタジオ)」を興し、起業支援金を活用しながら、勝浦の暮らしや文化を映像や写真などのビジュアルで見せるウェブメディアを立ち上げようと構想中です。協力隊を卒業しても、大和田さんの心には「勝浦のために何かしたい」という想いが生き続けています。

未来を変えるために小さなことから始めてみる

「町のことは町のみんなで考えたい」と大和田さん。地域の人々とコミュニケーションをとりながら手の届く範囲から変えていきたいと話します

協力隊時代は、勝浦の魅力を外へ向けて発信してきた大和田さん。任期を終え、その関心は、地域の内側にある暮らしや課題にも広がりました。

「勝浦市も消滅可能性都市と言われています。空き家も増えているのですが、市全体は無理でももっと小さい地域、区の単位だったら自分にも何かできるかもしれない。今は地域の人たちに話を聞いたり、補助金を調べたりしながら、何ができるかを考えているところです」

自分を受け入れてくれた勝浦市のためにできることを模索し、小さなところからでも変えていけたら――。例えそれが大きな利益を生む事業にならなくても、町の活性化につながるのであれば、補助金などを利用するのもひとつの手段だと大和田さんは教えてくれました。

大和田さんはフリーランスとして活動しながら町のために尽力していますが、理想を掲げて実現させるためにはやはり生きていく基盤が必要です。その糧となる仕事は移住希望者にとってもいちばんの悩みどころですが、大和田さんからこんなアドバイスをいただきました。

「私のようにリモートや週に何度か都市部に通うなど、仕事は外(の地域)でと割り切ってしまうのも手だと思います。あとは、求人に載っていない仕事が意外と多くて、そういうものって信頼関係で成り立っているんです。勝浦市は家賃は安いので、小さな仕事、小さな暮らしから始めて、ちょっとずつ人付き合いを広げていったら、いつかうちで働いてみない?というようなこともあるかもしれません。そういうスタートの仕方もありだと思います」

本稿は、2026年6月の取材に基づいています。

地域おこし協力隊を機に勝浦に移住。スキルを活かして町のためにできることを

プロフィール

勝浦市

大和田 里奈さん

職業 動画クリエイター、カメラマン
住居 平屋の一軒家(賃貸)
支援制度利用 有(地方創生移住支援金、地域おこし協力隊起業等支援補助金)

相談窓口

移住に興味がある方は、県や市町村の移住相談窓口にお気軽にご相談ください。