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千葉市で60代後半からタクシー運転士に初挑戦。趣味のゴルフも満喫

千葉市で60代後半からタクシー運転士に初挑戦。趣味のゴルフも満喫

千葉市(愛知県→ベトナム→インドネシア→フィリピン→静岡県→千葉県八千代市→静岡県→東京都→千葉市:2024年~)
鈴木英司さん(小湊鐵道タクシー株式会社 タクシー運転士)

千葉県の県都であり、空港や県内の観光名所、都心へのアクセスもいい千葉市。商業施設が多く、暮らしやすさも兼ね備えたこの街で、未経験でタクシー業界に飛び込んだのが鈴木英司さんです。豊富な人生経験を持ち、英語を話せる鈴木さんはインバウンド対応もこなします。60代後半からタクシー運転士となった鈴木さんにお話を伺いました。

海外暮らしは約20年。航空機テロに遭遇したことも!

小湊鐵道タクシーで運転士として働く鈴木さん。海外で20年ほど暮らしたことがあり、人生経験が豊富です。鈴木さんのタクシーに乗れたら、驚くような話が聞けるかもしれません

千葉市に営業所がある小湊鐵道タクシー株式会社で、タクシー運転士として活躍する鈴木英司さんは現在69歳。1年半ほど前に未経験で小湊鐵道タクシーの面接を受け、採用されました。会社の支援でタクシー運転に必要な普通二種免許を取得し、2024年10月から乗務しています。

「私は愛知県出身で、大学卒業後は求人広告会社や事務機器販売会社で働き、その後、陶器の会社に転職しました。そこで原料となる珪砂の採掘事業のため海外赴任し、ベトナム、インドネシア、フィリピンで計20年ほど暮らしました。帰国後は派遣会社に長く勤め、管理業務を行い、そして今はタクシー運転士をしています」

さまざまな職歴を積んできた鈴木さんは、驚くようなことも数々体験してきています。飛行機の中でテロに遭遇したり、フィリピンでは目の前で銃撃が起きたりしたこともあったそうです。

「航空機テロの時は、もうだめかと思い、遺書を書きましたが、幸い、飛行機は緊急着陸に成功して命拾いすることができました」

そんな体験を持つ鈴木さんですが、タクシー運転士になったのは車の運転が好きで、「いつかタクシー運転士の仕事をしてみたい」と思っていたからです。

初めはお客様に道を教えてもらうことから。道順をメモし、休日にまた走って覚えた

  • 千葉市中央区にある小湊鐵道タクシーの営業所
    千葉市中央区にある小湊鐵道タクシーの営業所
  • 鈴木さん自作の運転記録ノート。主な行き先の効率的な道順をメモしています。手書きの地図を作っていたこともありましたが、「もう頭の中に入ったから」と後輩に譲ったそうです
    鈴木さん自作の運転記録ノート。主な行き先の効率的な道順をメモしています。手書きの地図を作っていたこともありましたが、「もう頭の中に入ったから」と後輩に譲ったそうです

60歳台後半という年齢で、未経験でタクシー運転士になった鈴木さんですが、どのようにして業務に慣れていったのでしょうか。

「最初の頃はお客様に対して『この仕事を始めたばかりなので、抜け道などを教えていただければそのとおりに走ります』と正直に伝えていました。お客様を降ろした後は同じ道で戻り、どこで曲がるのかなど、目印になるものをメモしていきました。帰宅後、手書きの地図を作って、休日に自分の車でまた同じ道を走って道を覚えました」

そうやって市内や県内のおおよその道が頭に入った後は、次は効率的な運行について分析するようになりました。

「うちの会社では配車アプリ(Uber、GO、S.RIDEの3種類)を導入していますが、何曜日のどの時間に、どこで配車が入ったか、自分なりにデータ化しました。そうすると、お客様が配車を依頼される傾向が分かるようになり、この時間帯はどのあたりで待機すると配車が取れるかや、今の時間は配車アプリがあまり使われないので駅のタクシー乗り場待ちがいいなと自分で判断ができるようになります」

鈴木さんは毎月22日間、乗務しています。自分で売り上げ目標を設定し、5日間ごとにその目標を達成できているかチェックしています。

「売り上げも、自分の収入も、入社前に考えていた額を上回るようになりました。乗務時間を含めて自分の仕事を自分で管理し、収入につなげられるのでやりがいがあります」

海外で身につけた語学力を活かし、千葉のおすすめの場所を伝える

  • 乗務前と乗務終了後、営業所でアルコールチェックを行います
    乗務前と乗務終了後、営業所でアルコールチェックを行います
  • 担当しているタクシー車両の清掃は日々欠かせません
    担当しているタクシー車両の清掃は日々欠かせません

さらに鈴木さんの強みは、以前の仕事の海外赴任時代に身につけた語学力があることです。英語とフィリピン語が話せ、スペイン語、中国語も少しできます。

「英語圏のお客様には乗車時、行き先の確認を英語でします。英語で話せるとわかると、お客様はいろいろ話してこられますよ。千葉市内から成田空港や羽田空港まで乗せることが多いのですが、その時は私も『日本はどうでしたか?』と尋ねます。皆さん、『素晴らしかった』と言ってくれます。千葉県内では『銚子が良かった』と言われる方が多かったです」

また、「次に日本へ来る時、千葉県内でおすすめの場所は?」と尋ねられることが多いそうで、そんな時、鈴木さんは、館山市、勝浦市、銚子市などをおすすめしているそうです。

「個人的には九十九里浜の白子海岸(白子町)に一度行ってみたくて、自分の目で確かめて良かったらお客様にもおすすめしようと思います」とも話してくれました。

これまで、バレーボール男子日本代表の“推し”の選手の応援に来たスイス人、大会出場で来日したニュージーランド柔術チームの監督、4家族合わせて20数人で観光に来ていたハワイのアメリカ人など、さまざまな国や地域のお客様を乗せてきたそうです。

ゴルフ場数が全国トップクラスの千葉県で、趣味のゴルフを楽しむ

車両点検を行った後、乗務の開始です
  • 長南町にある「長南カントリークラブ」のクラブハウス
    長南町にある「長南カントリークラブ」のクラブハウス
  • 同じく長南町にある「長南パブリックコース」のコース。「息子と一緒にまわりたい」と考えてるそうです
    同じく長南町にある「長南パブリックコース」のコース。「息子と一緒にまわりたい」と考えてるそうです

鈴木さんの趣味はゴルフです。社会人になってすぐの頃からプレーするようになり、ゴルフ歴は50年近くになります。千葉県は全国でトップクラスのゴルフ場数を誇り、海を眺めるシーサイドコース、林間や丘陵のコースなど、一年を通してプレ―を楽しめるゴルフ場が、アクセスしやすい場所に多くあります。

「休日は家の近くにある打ちっぱなしのゴルフ練習場へ行き、1時間ほどボールを打って汗を流しています。タクシーの運転は座りっぱなしになるので、いい運動になります。昔、勝浦市にあるゴルフ場でプレーしたことがあるのですが、コースも施設もきれいで感動したことを覚えています。ゴルファーにとって、千葉県は魅力的な場所です」

小湊鐵道は千葉県のほぼ中央に位置する長南町で、「長南カントリークラブ」と「長南パブリックコース」の2つのゴルフ場を運営しています。鈴木さんはそこでもプレーをしてみたいと考えています。

「私の息子もゴルフをします。静岡県にいるので、たまにしか一緒にプレーできませんが、今年の夏には千葉に泊まりで来てもらい、長南町のゴルフ場へ2日に分けて行ってみたいと思っています」

タクシーの乗車がお客様にとって「憩いの時間」になるように

乗車されたお客様にはまず「ごゆっくり、ご乗車ください」とお声がけ。会話はお客様に合わせて行い、聞き役に徹することがいいと思う場合は聞き役となります

小湊鐵道タクシーの運転士の定年は80歳。鈴木さんは75歳まで働きたいと考えています。乗務の日は渋滞情報と天気予報をこまめにチェックし、野球やサッカー、陸上、水泳など、スポーツの結果にも目を通します。

「お客様にその日の天気を聞かれた時、すぐに答えられるように天気予報のチェックは欠かせません。ゴルフ場へ行くお客様は特に天気を気にされるので、『この雨はもうすぐ止みますよ』などという会話をして、ゴルフ談義で盛り上がることもあります。スポーツとお話が好きなお客様の場合はスポーツの話をしたりします」

また、タクシーの乗車がお客様にとって「憩いの時間」になっているのではないかと感じることがあると言います。

「ご高齢で、外出することが大変な方も乗車されますし、走っているうちに身内の愚痴をこぼす方もいれば、『妻を亡くしたから今は好きに生きているんだ』と話す高齢男性もいます。そんなふうに話される時は聞き役に徹します。それぞれの方の中に溜まっている思いを吐き出してもらえる時間になるといいなと思います」

「タクシー運転士になり、本当によかったです」と話す鈴木さん。千葉市内を拠点に安全運転で、今日もハンドルを握り続けています。

本稿は、2026年3月の取材に基づいています。

千葉市で60代後半からタクシー運転士に初挑戦。趣味のゴルフも満喫

プロフィール

千葉市

鈴木 英司さん

家族構成 単身赴任(静岡県の自宅に妻、息子夫婦)
職業 小湊鐵道タクシー株式会社 タクシー運転士
住居 社宅
支援制度利用

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