いすみ市の築約30年の平屋に暮らす榎田さん夫妻。埼玉県出身の裕樹さんは都内の皮革製品メーカーに勤務。神奈川県出身の結実さんは、結婚前は栄養士として働いていましたが、現在は産休中です。2人がいすみ市に移住したのは2025年4月。きっかけは裕樹さんの「狩猟熱の高まり」だったといいます。
「狩猟に興味を持つようになったのは10年ほど前からでしょうか。私は仕事柄、日常的に革を扱っていますが、普段はそれを単なる素材として見てしまう。つまり、その革が元々は生き物だったことを忘れてしまいがちなんです。でも、それではいけないというか、その革のルーツをたどりたくなってしまったんです」
仕事道具である革の源を知るため狩猟に関心を持つようになった裕樹さん。その思いの原点には「大学時代に学んだ文化人類学の視点」があるといいます。
「文化人類学では、様々な国や文化で“当たり前”とされていることについて“そもそもそれってどういうことなの?”と考えるんですが、私自身も“そもそも革ってどういうものなの?”ということを追求してみたくなったんです」
そこで、裕樹さんは狩猟についての本を読んだり、皮なめしの講習会に参加。獣害の問題にも関心を抱くようになりました。
「狩猟で獲った動物がジビエとして利用されるのはわずか1割。皮革として使われるものはもっと少ない。いずれは自分で獲った動物の皮で鞄や財布を作ってみたいと思うようにもなりました」