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東京への通勤と趣味の狩猟を両立させるためいすみに移住

東京への通勤と趣味の狩猟を両立させるためいすみに移住

いすみ市(埼玉県・東京都→いすみ市:2025年~)
榎田裕樹さん(会社員)・結実さん(産休中)夫妻

「今の職場は好き。でも週末は自然の中で趣味に没頭したい」という榎田裕樹さん。かたや「東京の人口密度の高さに嫌気がさしていた」という妻・結実さん。2人が選んだのは、東京への通勤が可能で緑豊かないすみ市でした。

皮革の源をたどって狩猟に目覚める

  • 狩猟用のベストを着た裕樹さん。愛車は仕留めた獲物が積めるハイゼットデッキバン。
    狩猟用のベストを着た裕樹さん。愛車は仕留めた獲物が積めるハイゼットデッキバン。
  • 自分たちでなめした鹿革。岐阜県で行われた皮なめし講習会に、ご夫妻揃って参加したそうです。
    自分たちでなめした鹿革。岐阜県で行われた皮なめし講習会に、ご夫妻揃って参加したそうです。

いすみ市の築約30年の平屋に暮らす榎田さん夫妻。埼玉県出身の裕樹さんは都内の皮革製品メーカーに勤務。神奈川県出身の結実さんは、結婚前は栄養士として働いていましたが、現在は産休中です。2人がいすみ市に移住したのは2025年4月。きっかけは裕樹さんの「狩猟熱の高まり」だったといいます。

「狩猟に興味を持つようになったのは10年ほど前からでしょうか。私は仕事柄、日常的に革を扱っていますが、普段はそれを単なる素材として見てしまう。つまり、その革が元々は生き物だったことを忘れてしまいがちなんです。でも、それではいけないというか、その革のルーツをたどりたくなってしまったんです」

仕事道具である革の源を知るため狩猟に関心を持つようになった裕樹さん。その思いの原点には「大学時代に学んだ文化人類学の視点」があるといいます。

「文化人類学では、様々な国や文化で“当たり前”とされていることについて“そもそもそれってどういうことなの?”と考えるんですが、私自身も“そもそも革ってどういうものなの?”ということを追求してみたくなったんです」

そこで、裕樹さんは狩猟についての本を読んだり、皮なめしの講習会に参加。獣害の問題にも関心を抱くようになりました。

「狩猟で獲った動物がジビエとして利用されるのはわずか1割。皮革として使われるものはもっと少ない。いずれは自分で獲った動物の皮で鞄や財布を作ってみたいと思うようにもなりました」

今の職場に通えるいすみにマイホームを購入

  • 日当たりのよい庭には、桜、アジサイ、シークワーサーなど、たくさんの木が植えられています。
    日当たりのよい庭には、桜、アジサイ、シークワーサーなど、たくさんの木が植えられています。
  • 大型のガレージの中はまるで秘密基地。獲物を解体する装置も設置されています。
    大型のガレージの中はまるで秘密基地。獲物を解体する装置も設置されています。

狩猟免許を取得した裕樹さんが次に取り組んだのが、「今の職場に通えて週末には狩猟に行ける移住先探し」です。

「東京の奥多摩も考えてみましたが、職場のある足立区までの電車が混みそうだなと思い、千葉県に的を絞りました。祖父の別荘のあった鴨川市はなじみがありましたが、通勤にはちょっと無理がある。いすみ市ならどうにか通える距離でした」

一方、結婚前は都内に住んでいた結実さんは、「昔から田舎暮らしがしたいと思っていたので移住には大賛成。なんなら、もっと田舎でもいいくらい」と微笑みます。

2人が暮らすのは、のどかな田畑に囲まれた中古の一軒家。購入する際には、「いすみ市ふるさと定住支援住宅取得費補助金」を利用。購入価格の1割(中古の場合)は補助金でまかなわれています。この物件に決めるとき、大きなポイントになったのは「解体小屋に使える大きなガレージがあった」こと。すでに将来、鹿や猪を解体できる装備が調えられています。

通勤時間は前向きに活用

モノ作りが好きなご夫妻。壁の塗り替えなど、DIYで住み心地よくリフォームしています。

裕樹さんの職場があるのは東京都足立区。毎朝5時半には家を出る生活です。

「家から職場までは片道約2時間半。最寄り駅から電車で上総一ノ宮駅まで行き、そこから東京駅経由で合計3回の乗り換え。最初は電車でずっと座っているのでお尻が痛くなりましたが(笑)、今はもう慣れました。通勤時間は本を読んだり動画を見たり、だいたいは週末にやろうと思っていることの予習にあてています」

移住して変わったのは「残業をしなくなったことくらい」と話す裕樹さん。「メリハリがついて、かえってよかった」と前向きです。

「前向きついでにいうと、通勤がちょっとした筋トレタイムにもなっています。実は、狩猟で山に入った時に自分の脚力の無さを痛感しまして……。東京駅での京葉線乗り換えは距離と高低差があるので、エスカレーターを使わずに移動して脚力を鍛えようと頑張っています(笑)」

千葉の人は移住者慣れしているのでありがたい

  • 養蜂用の巣箱。買ってきたものを参考に、一つは手作りしています。
    養蜂用の巣箱。買ってきたものを参考に、一つは手作りしています。
  • 防寒用にDIYで取り付けたという二重窓。
    防寒用にDIYで取り付けたという二重窓。

狩猟を目的にいすみ市に移住した裕樹さんですが、千葉県が定める狩猟期間は例年11月15日から翌年2月15日まで。それ以外の期間は、「毎月、射撃の訓練会に参加したりして、猟友会の方々に顔を覚えてもらう」ことに重きを置いた活動をしています。

「狩猟の免許を取得したからといって、もちろん好き勝手に動物を狩っていいわけではありません。土地を管理している人や、そこで既に狩猟をしている人など、色々な人との人脈を築いて、地道に“自分の猟場”を広げていく必要があるんです。その点でいうと千葉県の方は移住者慣れしているので、私のような新参者も受け入れてくれるのでありがたいです」

狩猟関連の活動がない休日は「たいてい何かを作っている」という榎田さん夫妻。家庭菜園や養蜂にも挑戦中で、目下の目標は「自分たちで育てた野菜で、春に生まれてくる子どもの初めての離乳食を作ること」と張り切っています。

いすみは欲張りな人におすすめの場所

  • 結婚前から革細工が趣味だったという結実さん。手にしているお手製のバッグもおしゃれ。
    結婚前から革細工が趣味だったという結実さん。手にしているお手製のバッグもおしゃれ。
  • 手にしているのは塩ビ管を使って作ったという太鼓。職人さんならではの手先の器用さで何でも作れてしまいます。
    手にしているのは塩ビ管を使って作ったという太鼓。職人さんならではの手先の器用さで何でも作れてしまいます。

榎田さん夫妻が移住してもうすぐ1年。今の暮らしについて聞いてみると、「私は一軒家に住んだことがなかったので、単純に庭があることが嬉しい」と結実さん。「周りからはたまに“不便じゃない?”と聞かれることもありますが、多少の不便さより、環境の良さの方が私にとっては大切。東京の人の多さに辟易していたので、ここは本当に居心地がいい」と大絶賛。一方の裕樹さんも「いすみ市は私のように“都内へのアクセスも確保しつつ、自然の中で好きなことがしたい”という欲張りな人にはおすすめの場所」と太鼓判を押してくれました。

春には第1子が誕生して3人家族になる榎田家。いすみ市での暮らしは、さらに賑やかに思い出深いものになっていくはずです。

本稿は、2026年2月の取材に基づいています。

東京への通勤と趣味の狩猟を両立させるためいすみに移住

プロフィール

いすみ市

榎田 裕樹さん・結実さん

家族構成 夫婦
職業 裕樹さん 会社員、結実さん 産休中
住居 築約30年の中古一軒家
支援制度利用 いすみ市ふるさと定住支援住宅取得費補助金を利用

相談窓口

移住に興味がある方は、県や市町村の移住相談窓口にお気軽にご相談ください。