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子育て世代にも人気の印西市で、馬と気軽にふれあえる牧場を運営

子育て世代にも人気の印西市で、馬と気軽にふれあえる牧場を運営

印西市(東京都→神奈川県→埼玉県→長野県→山梨県→印西市:2016年~)

小林紗礼さん(exstion印西ふれあい牧場 代表)

千葉ニュータウンの中心として若い世代や子育て世代に人気が高く、人口が増えている印西市。大きなショッピングモールがあり、成田空港や都心へのアクセスがよく、暮らしに便利な街である一方、豊かな自然も残る残る街です。そんな印西市で、馬や小動物とやさしくふれあえる牧場を経営する小林紗礼さんにお話を伺いました。

馬やヤギ、うさぎとのふれあいで「驚き」や「不思議」を見つけてほしい

  • exstion印西ふれあい牧場で乗馬のレッスンを受ける女の子(9歳)
    exstion印西ふれあい牧場で乗馬のレッスンを受ける女の子(9歳)
  • 牧場で飼われているヤギとも自由にふれあえます
    牧場で飼われているヤギとも自由にふれあえます
うさぎのほか、モルモットも飼育。餌やり体験をすることもできます

小林紗礼さんが代表を務める「exstion(エクッション)印西ふれあい牧場」は、印西市の千葉ニュータウン中央駅から車で10分弱、大型の物流施設などに囲まれた一角にあります。オープンしたのは2022年。馬4頭、ヤギ2頭、うさぎ3匹、モルモット6匹が飼育され、入場は無料。誰でも気軽に立ち寄って、動物たちとふれあうことができます。

「幼い頃から生き物が好きで、NHKの動物番組をよく観ていて、アフリカの動物を守るレンジャーに憧れたこともありました。大学は獣医学部に進学し、動物とのより良い共生や、健康的な環境で動物を飼育する方法などを学びました。大学卒業後は長野県、山梨県の馬がいる観光牧場や乗馬クラブで働き、その後、夫の実家がある印西市で暮らし始め、多くの仲間と出会い、協力してもらいながらオープンしたのがexstionです」

そう振り返る小林さん。ちょっと変わった名称の「exstion(エクッション)」は、驚きや発見の「!」マーク=exclamation(エクスクラメーション)と、疑問や不思議の「?」マーク=question(クエスチョン)を組み合わせた造語です。牧場に遊びに来た人たちにそれぞれの「!(驚き)」や「?(不思議)」を見つけてもらい、その経験を大切にしてほしいという思いが込められています。

自然も多く、暮らしに便利な印西市で新たなスタート

  • 「印西市は病院などの施設も充実し、子育てがしやすい街だと思います」と話す小林さん
    「印西市は病院などの施設も充実し、子育てがしやすい街だと思います」と話す小林さん
  • 「誰でも気軽に来られて、のんびりできる乗馬施設をつくりたい」と考えていた時、仲間に描いてもらったイメージ図
    「誰でも気軽に来られて、のんびりできる乗馬施設をつくりたい」と考えていた時、仲間に描いてもらったイメージ図

小林さんが印西市で暮らし始めたのは2016年です。山梨県にいた時に娘が生まれ、すぐに乗馬インストラクターの仕事に復帰しましたが、体調を崩し、退職することにしたそうです。

「骨盤の病気になり、馬に乗れなくなったので一度辞めることにしました。それで夫の実家がある印西市で暮らし始めたのですが、ここは里山もあって自然が多く、子どもを育てるにはいい環境だと感じました。子どもの成長には自然の中で遊ぶ体験が必要だと考えているからです。その一方で日常の買い物にも便利で、都会的な良さと自然がうまく共存しているところだと感じています」

そしてexstionの立ち上げに動き始めたのが2020年ごろでした。掲げたコンセプトは「小さいけれど、あたたかい。誰でも気軽に来られる乗馬施設」。地域密着で、ちょっとした習い事感覚で乗馬体験やレッスンに来てもらえるような牧場を目指しました。

「このコンセプトは昔から夫と話していたものでした。今は別の仕事をしていますが、もともと夫も馬に関係する仕事をしていました。一般の人は行きにくい『乗馬クラブ』ではなく、馬という生き物に誰でも身近にふれあってもらえるような場所をつくりたいね、と話していたのです」

「やりたい!」という思いを仲間が支えてくれた

  • 乗馬ができる馬場や木製の外柵などは仲間の協力で完成
    乗馬ができる馬場や木製の外柵などは仲間の協力で完成
  • 定期的にexstionに出店しているオルカコーヒー焙煎本舗の伊藤彰信さん(出店日はexstionやオルカコーヒーのインスタで確認を)。exstion立ち上げ時からの仲間で外柵づくりなどにも協力してくれたそうです
    定期的にexstionに出店しているオルカコーヒー焙煎本舗の伊藤彰信さん(出店日はexstionやオルカコーヒーのインスタで確認を)。exstion立ち上げ時からの仲間で外柵づくりなどにも協力してくれたそうです

exstionの立ち上げに、小林さんが用意した資金は150万円でした。少ないようにも感じますが、この予算内でオープンにこぎ着けました。

「約380坪の敷地は夫の親族が所有していたもので、そこを使わせてもらうことができました。ただ、そのほかのことは、印西市に来てからできた仲間の協力があったからです。この街にはたくさんのコミュニティがあります。子育て、自然食、外遊び、スポーツ、農業など、本当にいろいろなコミュニティがあるのです。公民館の掲示板にその情報が集まっていて、興味があるところに顔を出しているうちに仲間が増えました。また、印西市商工会の創業塾にも通って、経理などを学ぶことができました」

実際の牧場づくりでは、外柵の設営に始まり、馬場の整地、馬が暮らす馬房づくりなど、20名ほどの仲間が手伝ってくれたそうです。外柵の木材は宮大工をしている方が提供してくれました。その宮大工さんは今も馬房の下に敷く木材チップを提供してくれています。

「私の『やりたい!』という気持ちに応えて、集まってくれた仲間が、寒い中、外柵設営のための単管を打ってくれたり、木材を切ってくれたりしました。重機を持つ仲間はその重機を持ち込み、土地をならしてくれたりもしました。本当にありがたかったです」

思いたった時や散歩の途中、いつでもふらっと立ち寄れる場所に

exstionではマルシェも開催。そのマルシェで集まった仲間との記念写真
  • 子どもたちが馬のことを学ぶ場にも
    子どもたちが馬のことを学ぶ場にも
  • ご高齢の方まで幅広い年代の方が集まる場所になりました
    ご高齢の方まで幅広い年代の方が集まる場所になりました

そんな協力や支援のもと、オープンしたexstion。実際に来てみて感じるのは気持ちのいい開放感です。道路からでも中がすぐに見渡せて、「誰でも気軽に来られる」牧場になっていることを実感します。「入場無料」であることも来やすさ、入りやすさの一因です。

「入場を無料にしているのは、子ども一人でも来られる場所にしたかったから。思いたった時にふらっと来られる場所にしたかったのです。今では小さなお子さんを連れた親子、子ども、カップル、ご高齢の方まで幅広い世代の方に来てもらっていて、犬の散歩ついでに立ち寄る方もいます。犬連れでもOKにしています。印西市内を中心に近隣の白井市や八千代市あたりから来られる方が多いです」

exstionで費用がかかるのは、体験やレッスンからです。馬やヤギ、うさぎ、モルモットへの餌やり体験が1回100円、馬に乗って引き馬で馬場を2周する体験が1000円、そのほか月謝制で乗馬のマンツーマンレッスンなどがありますが、一般的な習い事レベルの価格設定です。

また、コーヒーのキッチンカーや焼き菓子販売の定期的な出店もあります。これは仲間たちの出店です。ほかにも誰でも参加できる青空ランチ会やマルシェの開催、夏休みには馬のことを学ぶ子ども向けの自由研究イベントも行っています。

馬とのコミュニケーションを通じて、動物のことを考えるようになってほしい

  • 乗馬レッスンは手綱を持って馬房から連れ出すところから始まります
    乗馬レッスンは手綱を持って馬房から連れ出すところから始まります
  • 馬へのブラッシングは馬との信頼関係を深める大切なケア
    馬へのブラッシングは馬との信頼関係を深める大切なケア

最後に小林さんが感じる馬の魅力や、人と馬とのふれあいから生まれることについて尋ねてみました。

「馬は人が乗ってコミュニケーションがとれる唯一の動物だと思います。馬の体調や気持ちを感じ取り、馬に指示を出して動かすことができると大きな達成感を得られます。そのためにはブラッシングなど馬へのケアも大切です。小さな子どもでも、レッスンに通っているうちに馬の扱いがわかるようになり、自分から必要な馬のケアを行うようになります。そんな経験を重ね、馬との信頼関係を築いていくうちに、あまり話さなかった子どもが明るく話すようになったり、(人としての)成長を感じることも多いです」

乗馬体験やレッスンは4歳から受け付けており、多様な子どもたちが来ていると言います。動物とふれあうことが大好きな子どもはもちろんのこと、中には学校に行けなくなった子どもや、発達障がいなどがある子どももいます。高齢者も乗馬できます。

「これからもマンツーマンのレッスンにはこだわっていきます。馬の気持ちを考え、『乗れてうれしい』という感覚を感じてもらうためです。そして、広く動物のことを考え、動物を守るために何ができるかまで考えてもらえるようになってほしいです。それが私の『使命』だと思っています」

馬たちをやさしい目で見ながら、小林さんは笑顔で教えてくれました。

本稿は、2026年2月の取材に基づいています。

子育て世代にも人気の印西市で、馬と気軽にふれあえる牧場を運営

プロフィール

印西市

小林 紗礼さん

家族構成 夫婦、娘2人
職業 exstion印西ふれあい牧場代表
住居 賃貸の集合住宅(団地)
支援制度利用

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