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働き方は変えずに古民家暮らしを実現!いすみで叶えた里山生活

働き方は変えずに古民家暮らしを実現!いすみで叶えた里山生活

いすみ市(東京都→いすみ市:2025年~)
加藤匠さん(会社員)・千波さん(会社員)一家

いすみ市は、月刊誌「田舎暮らしの本」(宝島社)が毎年発表している「住みたい田舎ベストランキング」で、首都圏版第1位に輝いたこともある人気の町。海と里山に囲まれた環境ながら、東京都心へアクセスしやすく、移住先として注目を集めています。そんないすみ市で古民家暮らしを始めた加藤さん一家。リモートワークをメインに移住前と変わらない働き方を続けています。

コロナ禍に芽生えた里山暮らしへの思い

縁側にて。大阪府泉佐野市出身の妻・千波さんは「いすみ市はアクセスがよく、都内在住の友人に会いに行けるのが助かる」と話します。

埼玉県出身の加藤匠さんは、大学卒業後に東京メトロに入社。新規事業開発などを手がけた後、株式会社オマツリジャパンに転職。日本各地の祭りや伝統文化の支援に従事し、のべ400以上の祭りに関わったという経歴の持ち主です。現在は、株式会社あっぱれの一員として文化観光のプロデュースを行っている加藤さん。移住を考えるきっかけは「コロナ禍に里山暮らしの魅力を再認識したこと」と振り返ります。

「当時、リモートワークが増えたり外出が減って生活環境が変わる中、茨城県で農泊をやっている知人を訪ねたことがあるんです。そのとき、庭の畑で採れた野菜をその場で食べるような生活もいいなと思い、いずれは古民家暮らしをしたいと考えるようになりました」

また、祭りのサポートで日本各地を巡るうちに芽生えた思いもあったといいます。

「祭りというのは基本的に“ハレの日”つまり非日常の文化ですが、それだけではなく、各地域の日常の文化の面白さにも気づいたというか。その両方を自分自身でより深く体験したいと思うようになったんです」

1年かけて出会った築200年の古民家

木々に囲まれた加藤邸。屋根は茅葺きにカバーを被せたもの。広い庭では時折、キジの姿を見かけることも。
  • 玄関を入ってすぐの土間は天井板をあえて外し、梁と茅葺きを見せています
    玄関を入ってすぐの土間は天井板をあえて外し、梁と茅葺きを見せています
  • キッチンやバスルームはリフォームされていて、外観とのギャップがアクセントに
    キッチンやバスルームはリフォームされていて、外観とのギャップがアクセントに

こうして「古民家に住む!」と心に決めた加藤さん。当初はエリアを限定せず「何かあれば東京に出られる場所」という条件のもと、茨城県や埼玉県など関東圏で広く物件を探したといいます。しかし、すぐには気に入った物件に出合えず、現在の住まいに決めるまで1年ほどかかったのだとか。

「どうせ古民家に住むのなら、1950(昭和25)年の建築基準法改正前に建てられた、いわゆる伝統工法の家にこだわりたかったんです。それに、せっかくなら、ある程度のプライベート感は確保したい。すぐそばに隣家が迫っているような窮屈な場所は避けたかった。となると、なかなか難しくて……」

そんな折、いすみ市に住む友人の伝手で「ちょうど古民家を手放したいと思っている人がいる」との情報を入手。市の東部に建つ、緑の木々に囲まれた築約200年の古民家を手に入れることができたのです。

「敷地は全部で約1000坪、建物は約130平米。和室にあった神棚の裏に『文政9年』(1826年)の文字を見つけた時にはさすがに驚きました。いすみ市では古民家が売りに出るとすぐ買い手が決まると聞くので、この家に出合えたのではラッキーです」と加藤さん。その後、1年ほどかけて水回りなどを中心にリフォームを施し、2025年3月に念願の古民家暮らしをスタートさせました。

リモートワークと地方出張、どちらも不便は感じません

  • 「あっぱれ」の仲間と。「あっぱれ」は2024年に設立された新しい会社。加藤さんは創業メンバーの1人です
    「あっぱれ」の仲間と。「あっぱれ」は2024年に設立された新しい会社。加藤さんは創業メンバーの1人です
  • 自宅での仕事場は土間の一角。妻・千波さんの仕事部屋とは距離があるので、互いに気兼ねなくオンライン会議にも臨めます
    自宅での仕事場は土間の一角。妻・千波さんの仕事部屋とは距離があるので、互いに気兼ねなくオンライン会議にも臨めます

加藤さんが所属する「あっぱれ」の本社があるのは京都。普段はリモートワークをメインに、頻繁に地方出張に出かけます。

「私たちの会社が行っているのは文化観光の支援。有形・無形の文化財を観光に活かすサポートをする仕事です。2020年に文化観光推進法が施行されて、これまで保護一辺倒だった文化財を活用していこうという動きがあります。つまり、文化財の所有者や担い手が自ら稼げるような仕組みを作らなければいけない。国の補助金頼みではなく、文化財によって経済効果を生み出し、それをさらに文化財に再投資する新たな循環を作りましょうというわけです」

そこで「あっぱれ」が行うのは、文化財を活かした旅行・体験商品の開発やガイドさんの育成など。「たとえば、これまで非公開だった茶室でプレミアムな茶会を開くという企画も、単なる利益追求ではなく、その文化財本来の価値を広く正しく知ってもらうことが目的」。そのため加藤さんは、日本各地の寺社仏閣をはじめとする“文化財の現場”に足を運びます。

移動に関しては「新幹線を使う場合は、車で上総一ノ宮駅まで出て特急に乗れば東京駅まで乗り換えなし。飛行機の場合は、東京湾アクアライン経由で車を走らせれば羽田空港まで約1時間。どちらも特に不便は感じない」とのこと。

一方、現在は育児休業中の妻・千波さんも、仕事はリモートワークがメイン。IT関連の会社に勤めていますが、「都内のオフィスに出社するのは月に1~2度でOK」。満員電車に毎日揺られる必要はありません。

人生の幸福度を高めてくれる“食の豊かさ”

稲刈り体験に参加したときの1枚。ほかにも、週末には大原漁港の「港の朝市」に出向くなど、いすみ市の食を満喫中

家との出合いから、いすみ市で暮らすことになった加藤さん一家ですが、この土地での生活を十分にエンジョイしています。

「まずは、とにかく環境がいい。ちょっと家の前に出れば緑に囲まれた庭があって心がやすらぎます。以前、都内の賃貸アパートに住んでいた頃は“リフレッシュのためにはどこかに出かける”というのが定番でしたが、今は家も広いし在宅時間が長くなりました」

さらに、いすみ市暮らしの満足度を高くしているのが“食の豊かさ”です。

「いすみ市は野菜も米もたくさん採れて美味しいですし、近くに牧場があるので牛乳やチーズなどの乳製品も良いものが手に入る。そして何より魚介類が新鮮。近所の魚屋さんに行き、並んでいる魚を見て“これとこれをお造りにしてください”という感じで買い物ができるのも、移住前にはなかった楽しみです」

「食の豊かさは人生の幸福度につながる」と断言する加藤さん。今後は「醤油づくりにも挑戦したい」と意気込みます。

「この地域では自前で醤油を作る人が結構いるらしいんです。醤油屋さんの手は借りるんですけど、何世帯かで樽を分け合って、大豆の仕込みからできた醤油を絞るところまで自分たちでやる。その醤油がすこぶる美味しい!今年はぜひ私たちもやってみようと思っています」

夢は古民家暮らしが体験できる宿泊施設

「長者・中根十三社祭り」に神輿の担ぎ手として参加

移住して約1年。もちろん地域の祭りにも参加しました。

「いすみ市では『大原はだか祭り』が有名ですが、この辺りの地域で行われるのは『長者・中根十三社祭り』。とくに中根地区では『おおやのへいだ(親の日だ)』という催しがあって、私はそれにも参加しました。これは、何人かで人間ピラミッドみたいなものを組んでグルグル回転するという、なかなか珍しい祭りで、かなりの盛り上がりをみせました」

祭りにも参加して、すっかりいすみ市の暮らしに馴染んで見える加藤さんに、将来について聞くと「古民家暮らしが体験できる宿泊施設をやりたい」と夢は膨らむばかり。この先も加藤さん一家の、いすみ市ライフはますます充実したものになるに違いありません。

本稿は、2026年2月の取材に基づいています。

働き方は変えずに古民家暮らしを実現!いすみで叶えた里山生活

プロフィール

いすみ市

加藤 匠さん・千波さん

家族構成 夫婦、娘2人
職業 匠さん 会社員、千波さん 会社員
住居 築約200年の古民家
地域交流 地元の祭りに参加、自治会の清掃活動にも参加
支援制度利用

相談窓口

移住に興味がある方は、県や市町村の移住相談窓口にお気軽にご相談ください。