東京都から移住した今野さんご夫妻が営む「コーヒーくろねこ舎」。築40年以上の民家をリノベーションしたカフェは、妻・素子さんの長年の夢だったといいます。
素子さんは東京都世田谷区出身。都内で保育士として働いた後、複数の飲食店に勤めながらカフェ開業の夢を膨らませていましたが、そこで高いハードルとなったのが開業資金の問題でした。
「最初は下北沢とか三軒茶屋の辺りで物件を探そうと思っていたのですが、とてもとても(苦笑)。保証金だの保険だのを含めると軽く1,000万円は必要で、そこから更に毎月の賃料がかかるとなると、とうてい私たちには無理だなということになりました」
次に素子さんが目を付けたのは「両親と旅行して気に入っていた場所」だという鎌倉や秩父など。「歴史ある町でコーヒー店をやりたい」という希望に添った場所でした。
しかし、それも「私が気に入る場所は、他の人も気に入るわけで、やっぱりハードルは高かった」と断念。「いっそ、主人の故郷の山形県に行こうか」と思っていたところに、博之さんが「千葉県もいいんじゃない?」と言い出したそうです。
きっかけになったのは、いすみ市の自然の中にカフェや宿泊施設などが点在する「ブラウンズフィールド」。博之さんは、そこでの2週間の泊まり込み体験を通して、「自然が豊かで気候がよく都心にも近い」千葉県の良さを実感したそうです。