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自分で選んだふるさと・旭市をもっとおもしろくしたい

自分で選んだふるさと・旭市をもっとおもしろくしたい

旭市(北海道札幌市出身。

茨城県及び東京都での生活を経て、2022年から茨城県守谷市と旭市で二地域居住)
永井大輔さん(合同会社くらす 代表、パブ九日 店主、一般社団法人みらいあさひ 顧問)

千葉県北東部、九十九里浜に面する旭市。2022年に開業した「イオンタウン旭」には、多世代交流施設「おひさまテラス」が設けられ、地域の交流拠点として多くの人に利用されています。その立ち上げに携わり、初代館長を務めた永井大輔さんは、現在、茨城県守谷市と旭市で二地域居住をしながら、JR旭駅周辺の商店街を拠点に活動しています。永井さんが旭市に関わるようになった経緯と、自ら選んだふるさとへの思いを伺いました。

「おひさまテラス」の立ち上げを機に旭市へ

イオンタウン旭の2階にある「おひさまテラス」。自由にくつろげるオープンスペースのほか、キッチンスタジオ、コワーキングスペース、カフェレストランなども備えています

JR旭駅から徒歩5分ほどの商店街にある「パブ九日」。この店の主であり、同店2階に事務所を構える「合同会社くらす」の代表を務めるのは、北海道札幌市出身の永井大輔さん。永井さんはちょっと変わった経歴の持ち主。大学卒業後、日本一周の旅に出て、その後は建築家を目指して大学へ編入学、設計事務所等での勤務を経て、2017年にイオンタウン株式会社に入社しました。

旭市に開業予定の新施設の立ち上げに携わることになった永井さん。当時、イオンタウンとしても、“買い物だけが目的”ではないショッピングセンターを作りたいという考えがありました。そこで永井さんは、施設内に公共施設を入れ、「どんな世代でもどんな人でもやりたいことの後押しができる場所」を作ることを提案。市とも連携し、多世代交流施設「おひさまテラス」の開業にこぎつけるとともに、この先のまちづくりを支える「みらいあさひ協議会」の立ち上げに尽力しました。

街に飛び込んだから見えてきた旭市の魅力

「都市経営プロフェッショナルスクールに通ったことで、覚悟やマインドの部分がすごく変わった」と永井さん
  • 旭銀座通り商店街のメインストリート
    旭銀座通り商店街のメインストリート
  • 商店街に掲げられたフラッグには「好きです この街」のフレーズ
    商店街に掲げられたフラッグには「好きです この街」のフレーズ

街を巻き込むプロジェクトを提案したのは、旭市に可能性を感じたから。地域に元気がなければ商業施設はにぎわわない。まちづくりについて学ぶために通った「都市経営プロフェッショナルスクール」での教えが、永井さんに気づきを与えてくれました。

「スクールで教わったのは、街を知るためには街に飛び込んでいけということ。それを実践していろいろなところに顔を出していたら、最初は怪しまれたけど(笑)、そのうち人を紹介してもらったり、イベントに誘ってもらったりするようになりました。そうしていくうちに、旭市って食べ物もおいしいし、こんなにおもしろい人たちがいるんだ!と気づいたんです」

「おひさまテラス」が無事オープンし、初代館長を2年務めた永井さんは、運営を後進に引き継ぎ、イオンタウンを退職。本格的に街と関わるために「合同会社くらす」を設立し、旭市の事業のほか、県内市町村や他県の地域からも声がかかり、活躍の場を広げています。

地域のプレイヤーとして、商店街に新たな動きを

  • 商店街にあるスコーンとベーグルのお店「Richy」にて。店主と談笑する永井さん
    商店街にあるスコーンとベーグルのお店「Richy」にて。店主と談笑する永井さん
  • 「パブ九日」の並びにある片山肉店は永井さんのいきつけ。特産の豚肉を使ったお弁当なども販売しています
    「パブ九日」の並びにある片山肉店は永井さんのいきつけ。特産の豚肉を使ったお弁当なども販売しています

2026年には事務所1階に「パブ九日」をオープン。パブにしたのは、パブリックハウス=地域の人たちが気軽に足を踏み入れられる社交場のような場所にしたかったから。

「この辺は店が点在してしまっているので、商店街は少し寂しい雰囲気。まちづくりという大きな目線だけでなく、この場所で働いて、そこの古着屋で買い物して、あそこでコーヒーを買って、夜はここでお酒を飲んで寝るというように、自分の居場所から半径200mで豊かな暮らしが実現するようにしたいんです」

そのためには、自分だけでなくまわりの人々も豊かでなければならない。そんな思いもあって、商店街の若手メンバーで集まり、街の小さな困りごとややりたいことを話し合うように。それを機に、立ち飲み屋台「スタンドtemp.」などのイベントも生まれました。永井さんを中心に始まった寄り合いですが、近ごろはうれしい変化を感じているそうです。

「僕が動かないと物事が進まず、そこに課題を感じていました。それが、この間、立ち飲み屋台の日程を話し合っていたときに候補日が僕の出張の日で。そしたら『永井さんがいなくてもやるよ!』とみんな言ってくれて、自走しはじめてるんだ!とうれしくなりました」

旭市で挑戦したい人、暮らしてみたい人を後押し

「パブ九日」の店内。商店街にあった空き店舗を一級建築士でもある永井さんが自ら設計しリノベーション
  • 広々とした空間でダンス&DJイベントなどにも利用されています
    広々とした空間でダンス&DJイベントなどにも利用されています
  • 「九日」には、旭という漢字を分解した「九」と「日」、「ここの香(ここのか)」を感じ「個々の歌」を奏でてほしいなど、重層的な意味が込められています
    「九日」には、旭という漢字を分解した「九」と「日」、「ここの香(ここのか)」を感じ「個々の歌」を奏でてほしいなど、重層的な意味が込められています

街に灯りをともすために始めた「パブ九日」ですが、シェアキッチン・レンタルスペースとして貸し出しも行っており、街の未来を担う若手の挑戦の場にもなっています。

「おひさまテラス時代から新しいことに挑戦しようとがんばっている人たちを見てきました。そういう若手に対して、イベントを開いて出展してもらうというようなことはできるけど、最終的な出口がないことに気づいたんです。なので、ここを次のチャレンジの場所としてもらえたらと思っています」

旭市を訪れる人、旭市に住みたいと考えている人たちの受け皿となる宿や住まいも構想中です。

「旭市にはビジネスホテルか旅館しかないので、もっと街とつながれる宿があったらいいなと思っています。あとは、移住するときにいきなり家を買うのはハードルが高いけど、ここは賃貸の選択肢が少ない。街に投資する意味でもそろそろ自社でも物件を取得して、シェアハウスやリノベOKの物件などちょっとおもしろい家を作れたらと考えています」

旭市は自分で選んだふるさと

家族が遊びにくることもあり、お祭りに参加したり、初日の出を見に行ったりと、旭市でも家族の時間を楽しんでいます

現在は家族が住む茨城県守谷市と旭市で二地域居住を行っている永井さん。いつかは家族で旭市に完全移住したいと話します。

「街をおもしろくするために動いている僕にとって、家族は通信簿みたいなもの。子どもたちや妻に『旭っておもしろいじゃん』『旭だったら自分も何かできるかも』と思ってもらえるような街にすることが目標です」

先日は久しぶりに北海道に帰省し、祖父の代が住んでいた場所に行ってみたそう。そこにあった開拓の碑を見て、永井さんはこんなことを感じました。

「僕の先祖は、この場所を自分たちのふるさとにするために開拓したんだな、今の自分も同じ精神だなって。僕の場合は旭市がそれで、ここでだったら仲間と一緒に街にコミットできるし、手ごたえのあるかたちでふるさとを作れると思うんです。まちづくりというとちょっと暑苦しいけど、地域がきれいな方がいいからゴミを拾おうとか、子どもたちを安全に育てたいから見守り活動しようとか、そういう小さなことでいい。自分のふるさとだと思って街を見渡したら、やりたいことやそれを一緒にやれる仲間ができるのではと思います」

移り住んだ先をふるさとに――。そう思えば、暮らしはより豊かに、おもしろくなるはずです。

本稿は、2026年8月の取材に基づいています。

自分で選んだふるさと・旭市をもっとおもしろくしたい

プロフィール

旭市

永井 大輔さん

職業 合同会社くらす 代表、パブ九日 店主、一般社団法人みらいあさひ 顧問
支援制度利用 無

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