学生時代に起業し、IT企業へ転職、再起業と、東京で仕事にまい進していた漆原さん。そんなときに母親の病気がみつかり、環境のよい場所で過ごしてもらおうと埼玉の実家を売却。そのお金を元に館山市に両親のための戸建てとアパートを建設しました。その後、再びサラリーマン生活を送ることになりますが、ストレスから自身がパニック障害に。もう会社に雇われる生き方はできない。そう思ったときに頭に浮かんだのが、館山市のアパートで賃貸収入を得ていること。そこから漆原さんは本格的に不動産投資を開始します。しかし…。
「大家なのに住人と会ってもお互い挨拶すら交わさない。その関係が嫌だなと。そんなときに、コミュニティのある賃貸住宅というものを提唱している青木純さんの著書に出会いました。ちょうどその頃、親のための建てたアパートの隣にあった元官舎が売りに出されることを知って、そういう賃貸住宅を作るには最適だと思ったんです」
こうして2017年、元公務員宿舎をリノベーションした集合住宅「ミナトバラックス」を創り上げました。1組目の入居が決まったのを機に家族で館山市に完全移住し、住人たちと食事会をしたり、夏祭りをしたりと、家族や住人とともにコミュニティのある暮らしを満喫する日々。そんななかでコミュニティの強さを感じたのが、2019年の房総半島台風でした。
「停電になってもみんなで1階の共用スペースに集まって、“食材が腐っちゃう前にバーベキューしよう!”と明るく災害を乗り切ることができました。ふだんからコミュニケーションをとっていれば、災害時にも自然と助け合える。それが実感できた出来事でしたね」