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リモートワークで叶えた⼼のゆとり。⾃然豊かないすみでのびのび暮らす

リモートワークで叶えた⼼のゆとり。⾃然豊かないすみでのびのび暮らす

いすみ市(東京都→いすみ市:2021年5⽉〜)

ガスキー俊さん(会社員)‧恵梨さん(⾮営利団体スタッフ‧ヨガ講師)⼀家

2021年に東京都江東区から千葉県いすみ市に移住したガスキーさん一家は俊さん、恵梨さん、長女、長男の4人家族。昔から住んでいる方が多い地区に建つ、広い庭付きの築約40年の日本家屋をリフォームして暮らしています。
ご夫妻とも仕事のスタイルは基本的にリモートと出社を組み合わせたハイブリッド型。働き方が変わって心身に余裕が生まれ、近くの海でサーフィンを始めたり、庭でヤギを飼ったりと家族の新たな楽しみも広がっています。

いすみのインターナショナルな雰囲気に魅かれて

約700坪もある広い土地。代々農家だった昔ながらの家を生かしてリフォーム
  • 畳敷きから床板に変えたリビング。和室にもつながっていて開放的な雰囲気
    畳敷きから床板に変えたリビング。和室にもつながっていて開放的な雰囲気
  • まるで公園のような広い庭にヤギの家と倉庫を作りました。
倉庫の外壁や屋根は俊さんのDIY
    まるで公園のような広い庭にヤギの家と倉庫を作りました。 倉庫の外壁や屋根は俊さんのDIY

房総半島の南東部に位置し、太平洋に面している千葉県いすみ市は、海と里山に囲まれた自然豊かな地域で、移住先として注目のエリアです。

「長女が小学校に上がる前に東京を出て、ゆっくり過ごせる場所に行きたかったのと、コロナ禍で働き方が変わったことが大きいです」と移住を考えたきっかけを話す恵梨さん。俊さんが勤める会社は在宅勤務となり、出勤が平均週1日になったそうです。

以前から環境に配慮した暮らしに興味のあった恵梨さんがチェックをしていたのが、いすみ市で農ある暮らしを実践している「ブラウンズフィールド」でした。そのコテージに家族旅行で宿泊したときにいすみ市の雰囲気がよさそうと感じ、東京の会社にも通勤可能なほどよい距離感であることから、いすみ市に絞って家を探し始めました。

「いすみはインターナショナルなコミュニティもあって。オーガニックやサーファー文化が混ざっていて、音楽フェスもあり、普通の田舎じゃなかったところがすごく好きだったんですよね」と俊さんが気に入った理由を話してくれました。

子どもを連れての家探しは大変だったといい、週末に民泊をしながら家を探すこと10軒。子どものために小学校も歩いて行ける家を探し、ようやく出会えたのが築約40年の日本家屋でした。スーパーやコンビニも近く、便利な場所です。

息抜きも⾃然と触れ合えるリモートワーク

当初は1階で仕事をしていましたが、子どもたちがバタバタするため2階の寝室を仕事部屋として利用
  • 「サラダセット」として植えた畑。「育てるのが楽しい」という俊さんがおもに畑を担当
    「サラダセット」として植えた畑。「育てるのが楽しい」という俊さんがおもに畑を担当
  • 出勤日以外は家族で夕食を取れるという俊さん。ごはんを一緒に作ることも
    出勤日以外は家族で夕食を取れるという俊さん。ごはんを一緒に作ることも

俊さんの仕事は、アメリカに本社があるメーカーの東京支社の営業職。以前から在宅勤務も可能でしたが、家から近かったこともあって毎日出勤していたそうです。コロナ禍でリモートワークがメインとなったものの、出勤することもわかっていたため、通えることもいすみを選んだ理由のひとつです。

現在は週1~2回、東京の会社に出勤しています。出勤日は外房線上総一ノ宮駅まで車で行き、1時間に1本ある特急「わかしお」に乗れば約1時間で東京に。特急は指定席があるので、車内も集中して仕事がしやすいといいます。

普段は2階の寝室で仕事をしている俊さん。息子さんを保育園に連れて行って、キッチンでコーヒーを淹れ、8時30分には仕事を開始します。休憩のタイミングで飼っているヤギに餌をやったり、畑に水やりにいったり、リフレッシュをしているそうです。

「東京のスピードで仕事が進むんですけど、ギャップがありすぎるんです。なんでこんなに急いでいるんだっけって気持ちになるときがあります」

「家で働くのはこんなにいいんだと思うようになりました」と笑顔で答えてくれました。家族との時間や自然に触れられる時間がある現在の働き方が、俊さんには合うのでしょう。

転職だけにとどまらず、ヨガの講師にも挑戦

「もう東京は住めない(笑)。⼼も体もゆとりがあって、幸福度が⾼い」と話す恵梨さん
  • いすみでヨガ講師としてもスタート。芝⽣を敷いた庭でレッスン
    いすみでヨガ講師としてもスタート。芝⽣を敷いた庭でレッスン
  • ⼀宮海岸でビーチヨガの講師を務める恵梨さん。気持ちよさそう
    ⼀宮海岸でビーチヨガの講師を務める恵梨さん。気持ちよさそう

東京ではメディア関係の会社で社員として、フルタイムで働いていた恵梨さん。移住することを決めてから会社に相談したものの、やはり部署的にリモートは無理だったそう。そこで以前から関心のあった環境に関する仕事でリモートができる会社をと、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を促進する一般社団法人に、フリーランスとして転職を決めました。

現在は固定のオフィスがなく、普段は全員リモートで、2か月に1度、東京で顔を合わせて打ち合わせを行うとのこと。恵梨さんは広報とコミュニティづくりを担当しており、おもにメールで対応しながら、週3日リモートで働いています。

恵梨さんには、いすみに来てから加わった新しい顔も。「環境の仕事が週3日なので余白ができ、何かやろうかなと思ったのがヨガの講師です」

もともとヨガが趣味でしたが、会社員時代は忙しすぎて考える余裕がなかったそう。九十九里のヨガインストラクター養成学校に通って1年かけて資格を取得し、2023年からヨガ講師としてスタート。今は家の広い庭や和室、いすみ市の公民館でも教えています。

「ビーチヨガの講師もやっていて、真夏は朝7時からスタートします。砂が熱すぎて寝られないので(笑)。いすみは人口に対してヨガ講師が多いんです」と楽しそうに話してくれました。好きなことを仕事にしている恵梨さんは表情も生き生きしています。

いすみの⾃然の中でたくましく育つ⼦どもたち

家の前の細い路地でスケードボードを披露してくれた娘さんと、⾃転⾞も上⼿に乗れる息⼦さん
  • ヤギのパクとチー。息⼦さんはお兄ちゃんのようにかわいがっています
    ヤギのパクとチー。息⼦さんはお兄ちゃんのようにかわいがっています
  • 俊さんは⼤原や御宿でサーフィンをします。⼦どもを連れて海に遊びに⾏くことも
    俊さんは⼤原や御宿でサーフィンをします。⼦どもを連れて海に遊びに⾏くことも

「こっちに来てから、サーフィンはやってないのとみんなによく聞かれて。じゃ、もうやろうかなと」とサーフィンを始めた理由を話し、笑う俊さん。

家から海までは約1kmという立地もあり、夫婦でサーフィンデビュー。サーフィンにはまった俊さんは、夏は仕事前の朝5時からや、昼休憩に行くこともあるそう。コミュニティの仲間とバスケットも始め、いすみ市のマラソン大会にも友人と参加するなど、いすみでアクティブに活動をしています。

子どもたちも活発に。ここに来た当時は2歳だった息子さんも現在は5歳。木登りも虫も大好きで、庭や近所を元気に走り回っています。運動神経の良い小学2年生の娘さんは、ここで始めたスケートボードも颯爽と乗りこなしています。外国人のコミュニティで出会った友達と、英語で会話できるようになったそうです。

近所は昔から住んでいる方ばかりですが、子どもたちの元気な声を歓迎してくれ、息子さんがよく1人で遊びに行く家があるほど。「近所の方は本当にやさしく、恵まれている」といいます。

新しい家族も増えました。広い庭だけに、草刈りの大変さを知った1年目。2年目は雑草を食べてくれるヤギの親子のレンタルをし、3年目は「いすみキッズファーム」の赤ちゃんヤギを2匹もらって飼い始めました。移住してもっと動物が好きになった息子さんは、まるで兄弟のように仲良し。息子さんも手伝った柵とヤギ小屋は俊さんの手作りです。

いすみには⼼強いコミュニティがある

  • ペレットストーブの絵を上⼿に描いた娘さん
    ペレットストーブの絵を上⼿に描いた娘さん
  • 庭の柿の⽊をするする登る息⼦さん。⽊登りが得意
    庭の柿の⽊をするする登る息⼦さん。⽊登りが得意

「いすみには移住者のコミュニティがあるので、子育ての助け合いや畑を一緒にやったり。外国人などさまざまなコミュニティがあります」と、いすみ市のいいところを挙げてくれた恵梨さん。

移住した当時、保育園の友達に会えなくなって寂しがっていた娘さんを支えてくれたのが、寺子屋のようなこどもえんでした。恵梨さんは「つながりの原点の場所」といいます。知り合いがいない場所で、仕事を持つ親にとって子育てを助け合える仲間が作れるのは心強いことでしょう。畑のやり方もコミュニティガーデンに通って教わりました。オーガニックの農家もたくさんいるため、おいしい野菜も手に入りやすいそう。

「小・中学校のオーガニック給食が実現されたように、自分たちの手で、生活を良くしていこうと行動に移せる当事者意識の強い人が多い」というのも、いすみ市で暮らして感じた特徴のひとつ。市の代表との距離が近いと感じることも東京ではなかったことだそうです。

暖房に関しても、いすみ市は木材を使う薪ストーブやペレットストーブの設置に補助金が出ます。家がエアコンのみでは寒かったため、薪ストーブよりは初期費用が安い、じんわり温まるペレットストーブを選択。冬はリビングキッチンで団らんのひと時を過ごしています。

暮らしてみて変わったことは

リモートワークを活用して、いすみ暮らしを満喫している俊さんと恵梨さん

「東京の時は自分に似たような人しか周りにいなくて。ここに来たらいろんな生き方があって、好きに生きていいんだなと。子どもにもおおらかになりました。心の余裕ができて、イライラが減りましたね」と自身も変わったと話す恵梨さん。環境の仕事やヨガ講師といった好きな仕事に踏み出せたのは、移住に伴う働き方と心の変化が後押ししたよう。

「いすみは小さい規模でもビジネスをとりあえずやってみて成功している人も多いので、だから私もやってみようかなという気持ちで、気軽にトライできる環境ではあります。私も好きなことを仕事にできているので、東京の時とは違う働き方がしやすいのかなと。いすみはマルシェも多く、お店を持たずに物販を含めてやりやすいと思います。地元のスモールビジネスもいっぱいあります」といすみで仕事を考える方に向けて、自身の経験を元にアドバイスをくれました。

移住をしてリモートワークという新しい働き方が、ガスキーさん一家に心のゆとりと挑戦するパワーをもたらしてくれたようです。

リモートワークで叶えた⼼のゆとり。⾃然豊かないすみでのびのび暮らす

プロフィール

いすみ市

ガスキー 俊さん‧恵梨さん

家族構成 夫婦、娘、息⼦
職業 俊さん 会社員、恵梨さん 会社員→⾮営利団体スタッフ‧ヨガ講師
住居 ⼀軒家
⽀援制度利⽤ 有(地⽅創⽣移住⽀援⾦)
移住の準備期間 約1年

相談窓口

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